Sermon法 話

おひえおきびおあわあわ


おばあちゃんの知恵袋と言いますが、私も祖母からいろんなことを教えてもらいました。その中で今でも印象に残っていることは、ごはんを「ぼさつさま」と言っていたことです。
幼少の頃、私が「ばあちゃん、何でごはんをぼさつさまって言うの?」と尋ねると、「お米は日本人にとって一番大切な食べもので、その大事なお米を作る田んぼは菩薩様と同じ位の場所なんやで。だからぼさつさまって言うんや。」と教えてくれました。そして、一粒のお米の中には三人の仏様(神様)がいらっしゃるから、ごはん粒一粒でも残したらあかんで。」と耳にたこができるほど言われました。小さい時に身についたことはずっと忘れることはありません。

天照大神のお孫様のニニギノミコトが日本の国に降りられる時、「これをもって瑞穂の国としなさい」と天照大神から渡されたのが稲穂だったのです。神様からいただいた尊い食べ物ですから、私たちは「お米」、「ご飯」と意識しなくても丁寧に言っています。雑穀に「お」を付けても言いにくいですよ。声に出して言ってみましょう。「おひえ、おきび、おあわ」。どうですか?お正月には鏡餅とお神酒をお供えしますね。
年の初めの神様へのお供えとして、お米から作ったものをお供えするのです。こういうことが分かると「ご飯をいただく」と言えると思います。「飯を食う」とは言いにくくなります。エサであれば「食う」でいいのですが、ご飯は「いただく」ものなのです。そして、私の命を支えて下さる食べ物に感謝して、「いただきます」と素直に言えることでしょう。


(福井新聞「心のしおり」欄に掲載分を手直ししたものです)


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