Sermon法 話

今在ることが贈り物


タレントのIMALUさんは明石家さんまさんの娘さんですね。
「いまる」という本名をローマ字表記にしたものを芸名にされていますが、「いまる」はお父さんであるさんまさんの座右の銘「生きてるだけでまるもうけ」を短縮したものだそうです。

1985年の日航123便墜落事故では520名もの尊い命が犠牲になりました。実はさんまさんは当時、日航123便を東京から大阪への移動のためによく利用していたそうで、この日も123便に乗る予定だったというのです。それが「オレたちひょうきん族」の収録が予定より早く終わり、一本早い便に変更したおかげで難を逃れました。予定通り乗っていたなら命は無かったのが生かされた、もう生きているだけでもうけものじゃないか、というので「生きてるだけでまるもうけ」が座右の銘になったのです。

この言葉を仏教的に解釈してみましょう。
英語のプレゼントの意味を見ると、「今・現在」「出席している・居る」「プレゼント・贈り物」という3つの意味が出てきます。その3つの意味を合わせれば「今在ることが贈り物」ということになります。プレゼントにこの3つの意味があるのは不思議な感じがしますし、素敵です。

お釈迦様はお生まれになった時、7歩歩まれて、右手は天を、左手は地を指し、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と言われたという伝説がありますが、私たち一人一人が尊い存在なんですよということをおっしゃっています。

「生きてるだけでまるもうけ」とは、「受け難き人間界に生を受けて今在る私たちの命は仏様からいただいた贈り物であり、だからこそ一人一人の存在自体が尊いのである」と言うことができるでしょう。

(福井新聞「心のしおり」欄に掲載したものです)


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