Sermon法 話

令和によせて


202年ぶりの天皇陛下ご退位による御代替わりということで、今に生きる人すべてが初めての経験という歴史的目撃者になりました。
令和が平和で穏やかな時代でありますようにと願ってやみません。

令和の公式の英訳はビューティフル・ハーモニーですね。これはとてもいい訳だと思いました。
「令」という漢字が「命令」を連想させるので、新元号が「令和」と聞いて、最初冷たい印象を持った人もいたようですが、「令嬢」という場合の「良い」という意味でビューティフルなのですね。
ハーモニーは単音ではハーモニーになりません。色んな音が合わさって初めてハーモニーになります。均一ではなくて、多様性があってこそハーモニーが生まれるのです。

しかし、各自が好き勝手な音を出していたのでは美しく響きません。耳障りな不協和音になってしまいます。例えば、オーケストラの中で第一バイオリンのように主要な旋律を奏でて目立つ楽器もあれば、シンバルのようにここぞというときに一打する楽器もあります。シンバルが目立ちたいと言って、やたらめったら打っていたら曲がめちゃくちゃになってしまいます。それぞれの持ち場でほかの楽器との調和を考えつつ自分の役割を果たすところに、聞く人の心に響くビューティフル・ハーモニーが生まれます。

これはまさにマンダラの世界です。マンダラにはたくさんの仏・菩薩・明王・天部の神様が描かれています。それぞれが自分の個性を発揮しつつ、お互いを尊重し認め合い拝み合う世界がマンダラの世界です。マンダラ世界がすなわち私たちの現実世界であると教えられたのが弘法大師様でした。これを「密厳浄土(みつごんじょうど)」と言います。この世が密厳浄土となるには寛容さとお互いを理解する努力が必要となります。

令和=ビューティフル・ハーモニー=マンダラ世界

これからますます外国人労働者が増え、多様性が増していく日本において、新元号が「令和」になったというのは非常に意味のあることだと感じました。


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