Sermon法 話

大谷選手の強さの秘密


 広尾晃というライターの方が大リーグエンゼルスの大谷選手に関する記事を東洋経済オンラインに書いていました。非常に興味深い記事だったのでご紹介しましょう。

2018年シーズンから大リーグに挑戦した大谷選手ですが、オープン戦では調子が上がらず、メディアでは「上では通用しない、マイナーから始めるべき」と散々に言われていました。しかしシーズンが始まるといきなりの大活躍で、批判的だったメディアを黙らせてしまいました。広尾氏は大谷選手のある行動を見て、彼のメンタルの強さを感じ取りました。

2018年4月11日のレンジャーズ戦の8回表、大谷選手は四球を選んで1塁に出ました。投手が交代し、マウンドに上がるなりいきなり牽制球を投げます。慌てて1塁に戻る大谷選手。この時彼は1塁ベースに足をかけながら、手を伸ばしてファウルラインの内側に落ちていたゴミを拾ってファウルゾーンに投げたのです。飛び込んだばかりの大リーグという大舞台で、ましてや、まだシーズンが始まって間もない時に、グラウンドに落ちていた小さなゴミに目が留まり、それを捨てた行為に、広尾氏はただならぬものを感じたといいます。

大リーグのベンチは、選手が食べたヒマワリの種のカスや紙コップ等が散乱し、平気でつばを吐きまくるので、試合の後は非常に汚い状態になっています。そんな中で、大谷選手だけは紙コップを手にして、その中にヒマワリの種を捨てています。大谷選手は、大リーグ流に染まらずに、グラウンドの小さなゴミに目が行き届く感性を保っているのです。

大谷選手は高校時代にマンダラチャートという目標設定シートを作っていました。一番の目標が8球団からドラフト一位指名を受けるということでした。その大目標を達成するために必要なことがいろいろ書いてあるのですが、その中にゴミ拾いがあり、「人が捨てた運を拾う」という意識を持ってゴミを拾っているのです。 「ゴミを拾う」という小さな行為が大谷選手の平常心を保ち冷静にプレーするための鍵となっているのです。

大舞台でもさりげなくそれが実行できるところに大谷選手のメンタルの強さがあるのですね。

(福井新聞「心のしおり」欄に掲載分を手直ししたものです)


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