
1. 主食であるお米が不足して大幅に値上がりするとは思ってもみませんでした。
2. 今年の夏もことさらに暑く、40℃超えが続出しました。
3. 福島原発の廃炉作業が当初の予定よりかなり遅れる見通しとなりました。
2004年に60歳から90歳までの男女300人を対象に「孫の代まで残したい言葉」というテーマでアンケート調査がありました。その結果、第一位が「いただきます」でした。戦中戦後の食糧難を経験した人は、飽食の時代だからこそ食べ物に対する感謝の心を失ってほしくないという思いがあったのだと思います。それが、当たり前にあると思っていた主食のお米が不足してしまうという事態になりました。食事という恵みをいただけるありがたさを改めて感じたことでした。給食時に「いただきます」を言わせるのはけしからんと、学校に文句を言う保護者がいるそうです。「給食費を払っているから」「宗教の押し付けになる」という理由だそうです。皆さんはどう思われますか?
第二位が「暑さ寒さも彼岸まで」でした。日本人の感性を磨いてくれた穏やかな四季の移り変わりがこれからも続いてほしいと願う人が多かったのでしょう。それがここ最近の気候変動の激しさによって、日本の四季が春と秋が短くなって、そのうち二季になってしまうのではと懸念する人もいます。極端な気候では情緒もあったものではありません。
第三位が「覆水盆に返らず」でした。福島第一原発の廃炉作業は当初40年で完了の予定でしたが、かなり遅れる見通しとなりました。100年かかるという専門家もいます。便利さと引き換えに、いったん事故が起きると取り返しのつかないことになる、まさに「覆水盆に返らず」です。
こうやって見てみると、このアンケートの一位から三位がすべて現在の状況に通じるものだったので、二十一年前の年配の方々の感性はさすがだったなと思いご紹介しました。
(福井新聞「心のしおり」欄に掲載されたものです)