
司会役である私の「アローハ!ハワイから来た…のではなくて、私は福井から来ました」の言葉で始まったピアノのボランティア演奏会。時は5月8日、場所は盛りとなったシャクナゲが陽光に映える高野山です。高野山にある特別養護老人ホーム南山苑(なんざんえん)で約80人の利用者さんが集まって、ハワイ・ホノルル出身のピアニスト、デール・セナガさんの演奏会が開かれたのでした。
デールさんは世界的に有名なロイヤルハワイアンバンドのピアニストとして31年間にわたり活動され、美空ひばりさんや五木ひろしさん他、多くの日本人歌手との共演経験もおありです。2009年に引退後はハワイの施設や病院でボランティア演奏会をしておられました。日本人のパートナーが亡くなって落ち込んでいた時、彼女の故郷である日本でも演奏会をしようと奮起して、日本語や日本の懐メロを勉強して、日本で活動したいと地元のお坊さんや知り合いに伝えたところ、ご縁が巡って日本でも活動できるようになり、以降、春と秋の年二回来日されています。
南山苑につながった経緯は、日本での活動をサポートしている人の中に私の知り合いがいて、その人から福井でピアノがあるお年寄りの施設がないか尋ねられたのです。私が所属するビハーラ福井が関わっている施設何件かに理事長から聞いてもらったのですが、ピアノが無くて断念。以前、南山苑に勤めていたことがある知り合いの看護師さんに連絡したところ、南山苑にはピアノがあるという返事が!彼女が南山苑につなげてくれ、昨秋にご挨拶と打ち合わせに伺い、今回実現したのです。
今回は4月17日に来日され、7か所10公演されて5月13日に帰国されました。その最終公演が南山苑でした。
「リンゴの唄」から始まり、「三百六十五歩のマーチ」まで、途中イントロ当てクイズやラジオ体操、メディテーションという曲に合わせて私が般若心経を唱えるというのもあり、50分間の演奏会は大盛り上がりで終わり、施設長さんは「コロナ禍以降、外部からのボランティアは初めてだったけれど、利用者さんの反応が良くて本当にうれしかった」と涙して感激しておられました。その姿を見てデールさんは「利用者さんの為に泣いてくださる施設長さんのところにいる人たちは幸せですね」と言われました。
高野山が初めてだったデールさんは高野山で演奏ができたことを非常に喜ばれ、今度は福井で演奏したいと言われています。ご縁のつながりを深く感じた今回の演奏会でした。