
今年は巳年なので、巳さんにちなんだお話をします。
空気は目に見えないので普段はその存在を意識していませんが、空気が動いて風になるとその働きを感じることができます。仏様も目には見えなくても、風のようにその働きを感じることができます。けれども時折、見に見える形でお働きをお示しくださるときもあります。
昭和60年の年の暮れ、母と初代住職である祖母が、みかん箱からお正月の鏡餅に乗せるみかんを選んでいました。すると祖母が母が手に取ったみかんを見て「ほのみかん飾っておけや。石になるで」と言います。母が「石になるって、ほんなことあるんけの?」と疑うので、「ほんならもう一つと一緒に飾っておけや」と言ったので、その通り二つを神棚に飾っておきました。日にちが経つと、一方のみかんはカビが生えて腐ってしまいましたが、石になると言ったみかんはそのままで、だんだんと水分が抜けていくとともに白い模様が浮き出てきました。それが写真にあるようにまさに巳さんの姿なのです(令和7年2月18日撮影です)。白蛇は神様のお使いで縁起がいいと言われていますよね。祖母は巳年の生まれで、うち寺の鎮守の神様である白山妙理大権現様のお使いも巳様です。祖母が初めて越前市の村国山の白山妙理大権現様のお堂をお参りした時には、三匹の巳さんが出て来て、草ぼうぼうだった参道を先導してお堂まで導いてくれたと言っていました。
昭和60年当時はちょうど現在の本堂建設に取り掛かっていた時でしたので、白山権現様が無事に建ち上がるように守っていることを示されたのかなと思います。 神仏のご加護のおかげさまで、平成元年巳年の10月8日、初代住職の誕生日に落慶法要が無事に営まれました。
今年でちょうど40年経ちますが、祖母の言った通りほんとうに石のようになって、現在も神棚にお祀りしてあります。カビたみかんの隣に置いてあったのに、カビが移らなかったのが不思議です。