Sermon法 話

新年にあたって


あけましておめでとうございます。
令和もはや五年目を迎えました。年を取るごとに時が過ぎるのが加速度的に早くなって、びっくりします。

令和になって以来、長くコロナ禍にあり、去年の漢字「戦」に象徴されるように、世界中に争いの火種がくすぶっています。思い返せば、令和の英訳はビューティフルハーモニーでしたよね。「美しい調和」ですよ。ところが実際は不協和音が世界のあちこちから聞こえてきます。

私は年賀状に毎年法語を書くのですが、今年は卯年ですので、満月を眺めるウサギのイラストを印刷して、「仏心は満月の如し」と書きました。これは弘法大師様の「凡夫の心は合蓮華の如く、仏心は満月の如し」というお言葉から取っています。
私たち迷いの世界にいる者の心は、つぼみの蓮華の花のようで、仏様の心は満月のようであるというのです。つぼみですから、条件が整えば見事に花開きます。円満で欠けることのない満月のような仏様の心になれる可能性を誰でも持っているのです。

迷いの世界は下から地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六つあって、六道輪廻といいますが、人間界の一つ下は修羅界です。修羅界は修羅場という言葉があるように、争いばかりしている世界です。日本も防衛費の大幅増大に舵を切りました。各国が軍事費を増やしていて、戦争に対する備えをしています。人間界にいながら修羅界の方にどんどん近づいているようです。気候問題や環境問題、地球の将来を考えれば、そんなことをしている時ではないのに、止めることができないところが人間の業ですね。

満月のような仏様の心の花を咲かせる可能性をいただいているのに、それに気付かずに、修羅の世界にまっしぐらでは余りにも悲しいことです。
「美しい調和」という大きな目標があるのですから、そこに向かっていけるような年にしたいですね。

本年も一年間何卒宜しくお願い致します。


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