Sermon法 話

ちょっといい話


サッカーのW杯になると毎回話題になるのが、日本のサポーター達のゴミ拾いですね。

ヤフーニュースを見ていたら、ゴミ拾いに関してちょっといい話を見つけたのでご紹介しましょう。令和四年十月八日の記事です。

広島市の中学三年生の男子生徒が半年前から登下校中に通学路のゴミ拾いを始めました。そのきっかけは、テレビで川や海に流れたゴミを魚などが飲み込んで死んでしまうということを知ったからでした。心を痛めた彼は自分にできることは何だろうと考えて、通学路のゴミ拾いを始めたというのです。 連日タバコの吸い殻やレジ袋、ペットボトルなどを拾い、学校や自宅で捨てているそうです。

九月のある朝、いつものように道端のゴミを拾っていると、サングラスにマスク姿の大柄な男性が近づいてきました。「拾います」と言うと一緒にゴミを集めてくれました。帰り際に「誰か分かる?」とサングラスを少しずらした男性の顔を見て彼はびっくり仰天!「えっ、なんで。まさか。こんなところで。」すぐにあのレジェンドだと分かりました。広島カープと大リーグで活躍した黒田博樹元投手だったのです。
もちろんカープファンである彼は、慌ててカバンからノートを取り出しサインをお願いしました。黒田さんは快くサインをしてくれ立ち去りました。

後日、彼の学校にサイン色紙とサインボールが届きました。黒田さんは彼のことを「なんていい子だ」と褒め、学校にもその善行を知ってほしいとの思いから贈ったそうです。校長先生は全校生徒にこのことを伝えボールを彼に渡しました。九月生まれの彼は「プレゼントのようで本当にうれしかった。毎日の活動を黒田さんに認めてもらったように感じる。これからも続けます。」と、気持ちを新たにしている、という記事でした。

黒田さんがたまたまそこを通るというのも天の粋な計らいに思います。普通の人だったら、「ゴミ拾いをしてえらいな。」で終わるであろうに、一緒に拾うという行動に移すところがさすが男気で知られる黒田さんです。車で通りかかったとしたら、わざわざ車を停めて手伝ったということになります。二人に共通することは思いを行動に移したこと。思っているだけでは物事はなかなか動きません。行動に移したことよってこのような素敵な出会いが生まれました。

一人で地道に続けていた活動がレジェンドに認められた経験は、彼にとって大きな財産となるでしょうね。

(福井新聞「心のしおり」欄に掲載されたものに加筆しました)


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