Sermon法 話

宇宙で首脳会議を


「地球は青かった」とは世界初の有人宇宙飛行に成功したガガーリンのあまりにも有名な言葉ですね。宇宙に浮かぶ星の中で地球の美しさを表す言葉としてよく引用されます。

ガガーリンは旧ソビエト、現ロシアの人です。同じく旧ソビエトの宇宙飛行士ボリス・ヴォリノフは「宇宙から太陽や星や地球を眺めていると、生命の不思議に打たれる。そして一層生命をいとおしみ、他人に対してより優しく忍耐強くなれる」と言っています。自分の国の宇宙飛行士がこんな素晴らしいことを言っているのに、そこの大統領は侵略戦争をしかけ、殺戮と破壊を行っている、何とも皮肉なことです。彼にこの言葉を聞いてどう思うのか尋ねてみたいものです。

宇宙空間に飛び出るとものの見方が変わるようで、「宇宙旅行をして外から地球を見るという経験は人を変えずにはいられない」(野口聡一)、「宇宙から地球を見た者にとって、またこれから見る何百、何千という人々にとって、その体験はものの見方を根底から変えてしまう」(ドナルト・ウィリアムズ)のです。

国境は人間が勝手に作ったものです。宇宙に行くと、「最初の一日か二日はみんなが自分の国を指さしていた。三日目と四日目はそれぞれの大陸を指さした。五日目になるとみんな黙った。そこにはたった一つの地球しかなかった」(スルタン・ビン・サルマン)、「「スペースシャトルに乗っている私たちにとって、故郷と言えば地球しかありません。アメリカも日本もウクライナもインドもそれらの国がどこにあるのかは見えなくとも、この地球が私たちの故郷なのです」(土井隆雄)と、国境という意識が無くなり、地球を一つの生命体として見られるようになります。

今では一般人も宇宙旅行ができる時代になりました。宇宙から地球を眺めながら、各国の首脳会議をするというのはどうでしょう?きっと有意義なものになると思うのですが…。


(福井新聞「心のしおり」欄に掲載されたものです)


一覧へ戻る