Sermon法 話

ビッグボス語録より


 今シーズンのプロ野球で一番の注目と言えば、ビッグボスこと日本ハムの新庄剛志監督ですね。
チーム力としては厳しいところがありますが、どのように立て直すか、手腕の見せ所です。

故野村克也さんは阪神タイガースの監督時代に新庄選手を指導した時、新庄選手を「宇宙人」と評しました。私もその言葉通り、彼のことを独創的な発想で常識にとらわれないぶっ飛んだ人だと思っていました。
ところが、監督就任会見でのビッグボスの、「人間性が大事。人の悪口を言わない、いただきます、ありがとうございました、が言える選手を育てたい」との言葉を聞いて、至って常識人であると、見方が180度変わりました。常識人の上に宇宙人が乗っかっている二重構造なんですね。

2002年から2003年までメジャーリーグで新庄選手の通訳を務めた小島克典さんがこんなエピソードを披露しています。

開幕から2、3か月経った頃、新庄選手と遠征先のレストランに入りました。初めて経験するメジャーのきついスケジュールに疲れ切っていた小島さんは、無意識に片肘をついて食事していました。すると、向かい側に座っていた新庄選手が手を伸ばして、小島さんの右肘をパチンと払って、真顔で「肘なんてついて食べるなよ」と言いました。新庄選手の通訳を務めた2年間で初めて怒られたのが食事のマナーだったということです。

また、 現役時代、金銭の管理を母親の知人に任せていたのですが、その知人がお金を使い込んで、あるはずの20億円が無くなってしまったということがありました。それでも彼はその知人のことを恨むどころか感謝しているというのです。20億円が無くなってしまったというのにすごいですね。普通なら恨みごとの一つでも言いたくなるし、なかなか許せるものではありません。

こういう話を聞くと「人の悪口を言わない、いただきます、ありがとうございました、が言える選手を育てたい」というのが説得力を持ってきます。

私が大学2年の夏に四国遍路をした時に印象に残っている言葉があります。それは、21番札所太龍寺さんの境内の石板に刻んであった「難行苦行とは難を難と思わず、苦を苦と思わぬことなり」という言葉です。私は、つらい、苦しいから難行苦行と思っていましたが、そう思わないことが難行苦行であるという逆説的な言葉が気になって、どうしたらそういう境地になれるのだろうとずっと考えていました。
そしたら、ビッグボスがツイッターで「苦労」をキーワードにこんなことをつぶやいていました。

「苦労が楽しくなるまで苦労することが苦労なんだよね」

「難行苦行~」の言葉と通じるものがありますよね。
次はどんな言葉を発してくれるか、ビッグボスに注目です。

(福井新聞「心のしおり」欄に掲載分を手直ししたものです)


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