Sermon法 話

声の力を鍛えるいい方法


先日、NHKの朝のニュースのまちかど情報室のコーナーを見ていたら、コロナ禍で人と話すことが少なくなって、声がかすれる、思うように声が出ないといった人が増えていると言っていました。声帯も筋肉でできています。ですので、使っていないと筋肉が衰えて、声帯をぴったりと閉じることができなくなり、そういった症状が出るそうです。

「アー」という声を一息で何秒間出せるかやってみて、男性で30秒、女性で20秒以下だと声帯が衰えてきているそうです。短い時間でいいので毎日声を出すようにしてくださいとアドバイスされていましたが、これを聞いて、随分前に先代の住職にご相談に来られたおばあちゃんの話を思い出しました。

おばあちゃん曰く、「先生、息子夫婦が都会に行ってしまって私は今一人暮らしなんですけど、近所付き合いもあまりないので、ともすると一日、一言も声を出さないこともあるんです。外を通る猫もニャンとも言ってくれない。それが何日か続くと、声が出るか心配になって、裏庭に出て『あっ』って言ってみるんです。それで『ああ、声が出た』と安心するんです。」

すると、先代の住職は、「おばば、あんた毎日お仏壇でお勤めせんのけの?毎日お経上げてれば、声が出るかどうか庭に出て『あっ』って言わんで済むやろ。ほの歳になってお仏壇にお参りもせんのではあかんのでないんけ。もうあと何十年も生きられるわけでないんやで、仏さん、先祖さんにほの歳まで生かさせてもろた御恩報謝のお経を朝夕上げさせてもらおうという気にならんかのう。」と答えていました。

ある程度年齢を重ねても仏様、先祖様に心が向かないのは寂しいことです。お経を上げることを「お勤め」と言いますね。日々なすべきことなので「お勤め」なのです。お勤めをすることによって、1.仏様、先祖様の供養になり、2.心が落ち着き、3.声を出すことによって声の力も鍛えられる、一石三鳥、こんないいことはありません。お勤めされてない方はぜひ!

(福井新聞「心のしおり」欄に掲載されたものです)


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