Sermon法 話

口に関する四つの戒め


四年間で三万回を超える嘘。
トランプ氏が大統領就任後の四年間でついた嘘の数だそうです(2021年1月23日付のワシントンポスト紙より)。すごいですね。よく数えたものです。嘘八百どころの話ではありません。しまいにはSNSのアカウントが永久停止されるという、最後までお騒がせな大統領でした。世界に対して影響力のある人が嘘をつきまくったのですから、閻魔様も見過ごすわけにはいかないでしょう。

私たちが守るべき戒めに十善戒というのがあります。身と口と心に関する十の戒めです。そのうち身と心に関することは三つずつですが、口に関することだけ四つと一つ多くなっています。それだけ口のわざわいが多いということでしょう。

不妄語(ふもうご・うそをつかない)、不綺語(ふきご・中身のない言葉を話さない)、不悪口(ふあっく・乱暴な言葉を使わない)、不両舌(ふりょうぜつ・他人を仲たがいさせるようなことを言わない)の四つです。この四つをちゃんと守れているかと問われれば、胸を張って「はい」とは言えないですね。どうでもいい話をすることもあるし、思わず強い口調で物を言ってしまうこともあります。言った後で毎回反省です。
阿弥陀様の第十八願には仏法を誹謗中傷する罪の重いことが述べられていますが、これも口のわざわいと言えますね。

SNSの発達で誰でも家にいながら世界中に発信できる時代になりました。だからこそ、言葉の使い方というのが以前とは比べ物にならないくらい大切になります。言葉の刃で相手を傷つけることもできるし、道元禅師の言われるように、心のこもった思いやりのある言葉で運命を変えることもできまます(愛語よく廻天の力あることを学すべきなり)。

口に関するこの四つの戒めをよくよく心に入れておきたいですね。

(福井新聞「心のしおり」欄に掲載分を手直ししたものです)


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